株式会社愛研 環境保全事業
モキ製作所の薪ストーブ 普及販売】

モキ製作所薪ストーブ生活イメージ

なぜ薪ストーブを導入するのか〜本体と炉台の選択

【導入事例〜K様邸物語】〜その1〜

プロローグ

ウチでも薪ストーブを導入してみようかな――そう思ったら、実際のところどうなんだろう、と様々な疑問が生じることだろう。そこは昨今の世の中、ネットで様々な情報が手に入る。

果たして、薪ストーブを導入したら、私達は、幸せになれるのだろうか?――

導入しようかと迷う誰にとっても、全てが未知の領域。ただ、何のために薪ストーブをしようとしているのか、何を最も大切にしたいか――何をもって「幸せというか」は、人それぞれであっても、失敗というのは誰にとっても共通である。

失敗とは、設置のために多額の費用を投じたのに、実際には使わなくなる、使えなくなって投じた費用が無駄に終わる、あるいは人よりもずっと余分に費用をかけてしまうこと。

そんな失敗を避けようとネットで様々な情報を調べた人は、だいたい次のような結論にたどり着く。

…そのような情報をもとにしながら、近所に薪ストーブ専門店があったり、使っている人が居れば、話を聞いてみることもあるものの、一般的には、だいたい目安となる費用の投じ方に照らして妥当か?という観点から判断することになるだろう。

そう、わからないことについては、どの部分に、お金がいくらくらいかかるものか、その情報を集めながら、部分ごとに、だいたいよくある費用になっていれば大丈夫と判断するのが「一般的なやり方」。

そういう「一般的なやり方」から見ると、薪ストーブの導入において、このような費用配分から構成された事例は、どう映るだろうか?

目を引くのは、普通は「最も」ないし「少なくとも横並びに」重視されて、費用を投じられるだろう【薪ストーブ本体】が異様に少ない割合になっており、一方、【煙突及び関連部材】と【設置工事費】の合計が異様に大きな割合になっていること。

これは、いわゆる「相場」も知らない情報弱者のような人が、ぼったくり業者に引っ掛かった、気の毒な失敗事例だろうか?――

これは、実は、私、株式会社愛研 環境保全事業【モキ製作所の薪ストーブ普及販売】担当者である大屋から見て、私の営業対応はともかくとして、薪ストーブ導入そのものとしては「史上最高の成功事例」ではないかと思う、K様邸での薪ストーブ導入における、実際の費用配分である。

もちろん【煙突及び関連部材】と【設置工事費】に、お金をかければかけるほどほど良い、などとバカなことを言うつもりはない。

薪ストーブを導入して幸せに暮らすための費用総額は、当然、少なければ少ないほど良い。そもそも費用総額など普通は非常に限られていて、費用をどんどん上乗せできる余裕などない。例えば薪ストーブ本体にお金をかけたければ、当然その他の部分には少なく配分するしかない。

そうやって考えると、薪ストーブ導入が成功するか、失敗するか、それを分けるのは、実は、限られた導入費用をどこに重点的に投じるか?という「費用配分の判断」が、問題の本質ということにお気付きだろうか。

薪ストーブ導入を成功させるプロセスに「本物」があるとすれば、薪ストーブのことを熟知した専門家が、ユーザーの持っている「何のために薪ストーブを導入するのか?」「何を一番大切にするのか?」という「本当の望み」について、ユーザーとしっかり合意を形成しながら、限られた費用の中で、その「本当の望み」に最も合致した「メニュー」、つまり費用配分を決めていく協同作業に他ならない。

私は、自分のできる範囲ではあるけど、導入費用総額が最小限になるように手を尽くしたし、これから紹介される実際の導入仕様を専門家が見た場合、この費用が決して「ぼったくり」などではないことはわかると思われるが、結果的には「決して安くない買い物」にはなってしまった。

しかし、私自身は、胸を張って言える。K様邸での薪ストーブ導入は、すばらしい成功事例だと。

この「物語」は、K様ご夫妻が薪ストーブを導入しようと決めて、実際に費用を投じて導入するまでのプロセスを、事実から乖離することなく紹介し、薪ストーブ導入の成功事例の一つとして、薪ストーブ導入を検討している読者の皆さまの参考にしていただこうとするものである。

本Webサイトのコンテンツらしく連載形式を取り、最終章では、私によって語られる一連の物語も読んで頂いたK様ご夫妻から、今回の導入に関する実際のご感想を書いて頂き、それを一切の改変を行うことなく掲載することになっている。

よって、この物語は、都合の良い脚色などない、あくまでも真実に基づくものではあるが、K様ご夫妻に関する記述については私を通して見たものであるため、理解不足や不正確な部分も含まれているかもしれない。この物語の文責の一切は、私、株式会社愛研 環境保全事業【モキ製作所の薪ストーブ普及販売】担当者の大屋にあることを最初に申し添える。

K様ご夫妻が薪ストーブ導入を具体的に考えるようになるまで

この物語の主役、K様ご夫妻が住まわれているK様邸は、愛知県尾張西部の平野部、比較的賑わう駅周辺から少し離れた、住宅と農地が混在する地区にある2階建ての一軒家である。

外から見ると、ごくありふれた住宅に見えるが、一たび家の中に入ると、訪問者は、木に反射した柔らかい光と、豊かな木の香りに包まれる。ありふれた家にはない、相当なこだわりを持って建てられたものであることが、誰にでも明らかに感じられる。

K様ご夫妻は、アパート暮らしなどを経て、この地に念願の家を建てるにあたって、「暖かい家に住みたいね」と話し合って、検討に検討を重ねられたそうで、今の家はそういったご夫妻の努力の賜物と言えるものである。

その家の具体的な仕様は、外断熱工法による高気密、高断熱の木造住宅。この住宅の仕様について初めて伺った際には、私も、これだけしっかりした仕様であれば、薪ストーブは要らないんじゃないか?と内心、訝ったものである。少なくとも工務店は薪ストーブ導入については難色を示していたとのことで、それも頷ける。

しかし、冬の暮らしの実態をお聴きすると、このようなことであった。

私は、暖房へのこだわりこそ、肌感覚を大切にする人に共通する特徴でないかと思う。私自身、太った状態から10キロ減量したとき、身体のさまざまな感覚、特に肌感覚が大きく変わった。身に着ける衣服や寒さに対する感覚が非常に繊細になった。

私よりずっとスレンダーな体格のご夫妻にしたら、冬の寒さの感覚はとても辛かったものと思われ、だから、これだけ試行錯誤をされたのだろう。

ご主人によれば、薪ストーブを入れたい、とは奥様のご希望とのことであった。一方、奥様からすれば「はっきり、薪ストーブを入れたい、と言ったような記憶はないけど…」とのことで、ただ、より良い暖房を求めて試行錯誤を重ねたのは奥様らしく、ご主人は試行錯誤して火鉢にまで挑戦して嘆く奥様を見て、薪ストーブを実際に入れようと考えるに至ったのかもしれないとおっしゃっていた。

そのご主人は、多忙を極める仕事の傍らで、プロが作ったかと見紛うような屋根付きのウッドデッキを作られ、畑を上手に作られて、自給自足的生活にも志向性がありそうにお見受けするのだが、やはり奥様によれば、ご主人は薪ストーブにも、もとから関心があったとのことである。

ただ、家を建ててから、もう何年ものあいだ、外断熱の家を建てた工務店の「薪ストーブは家と相性が悪い、お勧めしない」という意見を尊重して、具体的な検討はしてこなかったとのことであった。

さて、このような、長年に至るような経緯があったという、11月の、ある冷え込んだ朝のこと。奥様によれば、この朝、ご主人は、薪ストーブ導入を具体的に考えてみようと思い立ったらしく、調べているうちに、私の作ったWebサイトに行き当たった。

奥様によれば、火鉢を試行錯誤していた頃に、奥様はモキ製作所の薪ストーブを実際に使っている人のブログを読んでいたそうで「高い薪じゃなくても、針葉樹とか何でも燃やせる薪ストーブがあるんだって。その薪ストーブだったら料理とかもすごく美味しくできるみたいよ?」とご主人に話したことがあるとのことだった。

そんな情報から、ご主人は、奥様が欲しがる薪ストーブということで、私の作ったWebサイトを探し出していただいたのであろう。

この動機については「妻が、欲しがったもので…」と一言だけで、特にご自身については、あまり多くを語ることがない、どちらかというと寡黙なご主人であるが、決断は、非常に早い。

相談に乗ってほしいので、できたら、すぐに来てもらえないか……そういうご連絡を私まで頂いた11月のある冷え込んだ朝、この物語は始まったのである。

なぜ薪ストーブを導入するのか〜本体と炉台の選択

今思えば、最初に話を伺った時から、ご主人の問題意識は極めて端的であった。薪ストーブを入れたい動機とか、そんな話は申し訳程度に開口一番、

「この部屋に、薪ストーブを置くとすれば、どこが良いと思いますか?」

私は、説明のためのホワイトボードの代わりとして持ち歩いていた大きなカレンダーの裏に、壁際配置(つまり、煙突の壁抜き)と中央配置(つまり、煙突の屋根抜き)について、いくつかの視点から論点を整理した一覧表のようなものを示して説明したが、もしかしたら、これは私の人物評定と能力評定を兼ねていたのかもしれない。

この薪ストーブ屋は、設置を任せるに足りる人間かどうか。

ユーザーからみると、この人物評定と能力評定が、極めて重要なプロセスだということが、今はよくわかる。ユーザーとしての私は「悪い人はいないだろう」などと、人物評定と能力評定をおろそかにした結果、大きく失敗をしたので……

読者の皆さまも、パートナーになるかもしれない薪ストーブ屋には、最初の段階で、何か、論理的に複雑な、ないし本質的で難しい答えを要求される質問を、ぶつけてみることを、強く推奨する。

ともあれ、どうやら私は、ご主人の「試験」に仮合格したようで、そこではじめて、薪ストーブ本体について聞かれた。

「この部屋で使うのに、お勧めの薪ストーブはどれですか?」

ご主人の質問は、常に端的である。私の扱っている薪ストーブはモキ製作所のものだけだということは、すでにご存知なので、選択肢はそうはない。

「この建物なら…こちらのMD-80Uで充分でしょう」

「このMD-140Uというのは?何が違うの?」

「デザインも違いますが、暖房能力が違います。出力がずっと強いです。ただ、値段もかなり、お高くなりますが。」

「暖房能力が高いなら、こっちの方が良いんじゃないの?」

「いえ、寒冷地ならともかく、この地方で、この家なら、ここまでの暖房能力は必要ありません。MD-80Uでも、たぶん充分過ぎるくらいです。」

「ふーん……(奥様に向かって)あなたは、どう思う?」

「わたし?わたしは、どちらでも良いよ?あなたの好きなようにして?」

あとは、クッキングストーブ、MC-95lのことも少しだけ聞かれたように記憶しているが、MD-80Uでも様々な料理ができることを確認したら、「じゃ、本体はこれで。」と本体はモキ製作所での居間向けラインナップでは最も安価なMD-80Uに、たちまち決まった。

こうして書くと、ご主人は、いわゆる薪ストーブについて、なんのこだわりもない、意地悪にいえば「どうでもよい」という人ではないかと思われてしまうかもしれない。しかし、あとになって色々打ち解けてきた頃、ご主人は実際には、デザインやモノとしての薪ストーブにも、ずいぶんこだわりがあったということを私は知ることになる。

「MD-80Uは、デザインとしては、薪ストーブのイメージからは程遠いよね(笑)」

「MD-140Uのほうは、いわゆる薪ストーブのイメージに近いけど、それでも、薪ストーブが欲しい、という普通の人からすると、難しいだろうね(笑)」

要は、いわゆる「薪ストーブライフ」的なものは、ご主人の頭の中に、最初からちゃんとイメージされていたのである。おそらく、憧れのようなものとして。ごく普通に薪ストーブのある暮らしに憧れる巷のお父さんと同じように。

現に、薪ストーブ導入の正式な決定、つまりお見積もり価格の承認をいただいたあと、ご主人が最初にやられたのは、世間の評判を調べ上げて素敵な斧を買われたことだった。導入後の今も、寡黙な表情の中にわずかな笑みを浮かべながら、黙々と薪割りをやられている。

そんなご主人なのに、なぜ、普通の人なら非常にこだわる薪ストーブ本体に、ここまで無頓着であったのか。モキ製作所のラインナップであっても、なぜ、せめて「薪ストーブのイメージに近い」MD-140Uには見向きもせず「薪ストーブのイメージから程遠い」MD-80Uで即断したのか。

「設置は、もちろん使いやすさ優先です。」

初期の頃のメールに書かれたご主人の言葉。この方針が、全くブレることなく、今回の薪ストーブ導入では徹頭徹尾、貫かれたのである。

ただただ、上質な暖かさと、美味しい料理と、そして何よりも使いやすさを求めて。

安全性も、相当、使いやすさと同等に重視されたが、デザインについては、本質的に相当うるさいはずにもかかわらず、そこは「機能美」ということで許容できる限り、安くて合理的なものであれば即断された。

普通の人なら、デザインなどに相当こだわるだろう、炉壁・炉台。これも、モキ製作所の標準セットで即断であった。

具体的な費用配分でいえば、本体が19万円(税抜定価、当時。以下同じ)、炉壁・炉台のセットが6万8千円。普通なら、40万〜50万円かけても全然おかしくない、薪ストーブ本体と炉壁・炉台の合計部分への費用配分が、わずか25万7千円。

抑えられる費用はできるだけ抑える――これは、薪ストーブを設置しようという人なら誰もが考えるように、薪ストーブ導入に伴う費用総額を抑えるという意図が大きかったためと思われる。

結果的には、その意図に反して、導入費用総額は普通程度に大きくなってしまったが、検討のごく初期のうちに、目的に対して必要かつ充分、一般には最小限とも言える本体と炉壁・炉台への費用配分を、何の迷いなく決定したことが、その後の様々な検討においてベストな決定を容易にしたことには疑いがない。

どんな薪ストーブの導入プロセスが、導入した人を実際に幸せにするのか?――この問いに対する私なりの答えを、設置費用の投じ方、費用配分を一つの切り口にしながら、K様邸での物語を通して、これから皆さんに示していきたい。

『薪ストーブはどこに置くべきか(その1)〜西側案への合意』へ続く

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