株式会社愛研 環境保全事業
モキ製作所の薪ストーブ 普及販売】

モキ製作所薪ストーブ生活イメージ

安心して長く使える薪ストーブのために〜設置施工で「細部の思わぬところ」にいかに配慮するか〜

【現実の諸問題】〜その5〜

何が薪ストーブの寿命を決めるのか

今まで本事業でご縁のあったお客様は、ありがたいことに、とても仕事のデキる方ばかりなんですが、その皆さんから、異口同音に「マニアック」という評価をいただくのが、本事業Webサイトです(笑)

マニアックさそのものでは他社さんのサイトに全然負けると思うのですが、作成している私としては、本事業Webサイトの最大の特徴は「寿命」という問題をやたら意識している点だと自負しています。言葉を替えると「長く使うために」ということです。

具体的にはランニングコストを重視したり煙突の屋根抜き・壁抜きを延々考察したり……その問題意識の根源は「寿命」なのです。そこで、この記事では、薪ストーブに関する諸問題として、「寿命」について、一度ストレートに切り込んでみたいと思います。

薪ストーブショップでは「一生もの」とか言われる薪ストーブにも、寿命があります。おそらく、薪ストーブショップとかでいう寿命っていうのは、単に本体の寿命を指していて、その寿命を伸ばすためには、メンテナンスをしっかりしましょうとか、無茶な高温運転を避けましょうとか、そういう話だと思うのです。

しかし実際はもう少し複雑で、整理すると、薪ストーブは次のような理由から「寿命」を迎えます。

  1. 燃焼を行う薪ストーブ本体内に設けられた燃焼システムが、何かしら劣化して充分な機能を発揮できなくなる。
  2. 炎を安全に閉じ込めるべき薪ストーブの本体構造において、変形や素材劣化により気密性ないし強度が低下して、不安や、具体的支障(臭いもれ等)が生じる。
  3. 薪ストーブ本体設置に伴う煙突の設置施工が何かしらまずくて、煙突が機能を発揮しなくなるか、家の本来の機能を阻害する。

この番号の順は、実は対処のしやすい順です。1.は、ちゃんとメンテナンスと定期部品交換をしてやれば、部品供給がある限り維持できる。2.は、ぶっちゃけ、薪ストーブ本体は消耗品だと割り切って、本体を入換えてやれば済むわけです。冷蔵庫と一緒。ここまでが、いわゆる本体の寿命です。

ちなみに、モキ製作所の薪ストーブ、とりわけ伝統の形式を受け継ぐMD80Uは、鋳物製高級薪ストーブで本当に大変な1.の問題は「全く」発生しないままで、2.だけを扱うことになり、こと当地、愛知県などのあたりでは、実際に「一生もの」だと考えます。それに対して、鋳物製高級薪ストーブでは15年程度が寿命だそうです。

ただし、毎日激しく燃やす寒冷地では、モキ製作所の薪ストーブにも寿命があります。どういうものかというと、常時火にかける鍋のアルミや鉄板の底が「痩せて」穴があくのと同じように、炎にあたり続けることで本体の鋼板が痩せることだそうです。その寿命が30年くらい。

その、モキの薪ストーブ本体のメンテナンスフリーで長寿命という圧倒的な利点は、ここでは置いておくとして、ここで取り上げたいのは、ひたすら、3.の問題なのです。これこそが実際の薪ストーブの寿命を決めてしまうケースが多く、もっとも厄介で、薪ストーブ設置において本質的な問題と言えるでしょう。

ピンと来ないかもしれませんが、これは、導入時の費用配分を考えても明らかなのです。薪ストーブ設置は、全体で総額100万円とかの投資プロジェクトです。その投資が、できるだけ長い間、期待する効果を発揮しておいてほしいと思うわけですが、そのとき、どこにお金が一番かかっているか?……よほどの高級機でもない限り、薪ストーブ本体(1.や2.)ではなく、3.のはずです。

煙突の設置施工(3.の問題)こそが、使いやすさも、実際問題として薪ストーブを使い続けることができるかという寿命も……つまり、薪ストーブ設置という投資プロジェクト全体の運命を決めてしまうのです。

一応、薪ストーブの本体が高性能である場合は、煙突の設置施工の欠点もカバーできる場合もあります。現に、私自身がこの事業を始める前に、いちユーザーとして某業者に取り付けてもらった我が家の煙突なんて、モキのMD80Uという本体であればこそ、なんとか機能を発揮するものだったりしますし……

すなわち「寿命」という観点では、本質的には、あるいはモキの薪ストーブ本体であればなおさら、3.の問題が、最も重要だと理解いただけますでしょうか?モキの薪ストーブ本体なんて、ホント買い換える必要のない「一生もの」ですから、3.だけで寿命が決まります。

では、薪ストーブの煙突の設置施工が、薪ストーブが使えるかどうかの寿命を決めてしまうとは、どういうことか、もう少し考えてみましょう。

まず極端な例をいえば、煙突火災です。タールがこびり付き易く、かつ掃除のことも考えずに煙突を設置施工すれば、「まともに」維持するには、やたら高級な薪だけを燃やすとか、頻繁な煙突掃除をするとか、とんでもないコストや手間がかかって、実際問題として薪ストーブを使わなくなったりします。

それを現実的なコストと手間の範囲内で使い続けたとすると、結果的にユーザーの手入れ不足となり、煙突火災となるおそれが高くなります。1,100℃にもなる煙突火災時の煙突表面から、構造材の保護がちゃんとされていない設置施工では、家そのものを焼失させてしまうという事例も、現実にあるわけです。

煙突火災は極端な例ではありますが、高性能な本体を購入したのに、使っているうちに、近所から煙の苦情が寄せられて使えなくなってしまうなら、それもまた3.の寿命の一種と考えることができるでしょう。このように煙突の設置施工というのは、薪ストーブが実際に長く使えるかどうかに、他にも様々な要素を通して関係してきます。

それはまさに「複雑系」というにふさわしいものですが、その内容はプロの領域であり、ここで個別論として取り上げていくのは、あまり意味がありません。そこで、ここでは「安心して長く使える薪ストーブを設置するために」ユーザーとして理解しておくべき、たった一つの、基本的な考え方について、解説しておきたいと思います。

長く使うものの「寿命」って、実際はどうやって決まる?

ぜひ、整理しておきたいのは、長く使うものの「寿命」って何か?そして、それはどうやって決まるのか?どうすれば寿命を長くできるのか?という、本当に、原則的な考え方です。

ここでは、例題として「家」を取り上げてみましょう。私自身もそうですが、薪ストーブに関心のある方は、家の寿命にも関心が高い方ではないかと思います。なぜならば、薪ストーブは、決して「とりあえず」みたいな一時しのぎではない「覚悟を伴う投資」であって、薪ストーブを長く使うための前提条件が「家の寿命」ですから……

さて、私達が普段、比較的長い間使い、「寿命」という言葉を当てはめる対象として自動車があります。家と対比させる意味で、まず、自動車での議論を通して本来の意味での「寿命」を考えてみましょう。

自動車のような長期耐久「消費財」は、「買い換える」ということが前提の「モデルチェンジ」が寿命だと解釈することもありますが、これは本来の「寿命」ではないことは異論はないと思います。そうではなくて、使い続けようと望んでも、使い続けることができなくなるのが「寿命」と考えます。それでも、よく言われる自動車の「寿命」は、本来の寿命ではありません。

自動車のような「買い替え前提のもの」の「寿命」は、単に維持管理コストによって決まります。部品交換等によって、新品同様とまではいかなくても、当面の、あるいは必要な性能を維持することは充分可能だけど、ある時期からは部品交換等をたくさん実施する必要が出てきます。

そのための管理コストが多額になったり、あるいはそうやって部品交換等をやったところで、燃費(維持コスト)が新型の車には到底敵わないとか、そういうコスト面で新しいものよりも不利になるという理由で、自動車は「寿命になった」と言われます。

ところが、家の寿命は、たぶん、もっと本来の定義に沿っています。車では意味として寿命を決める一部にもなってしまう「電球の交換」を、家の寿命と関係させて考えさせる人はいないでしょうし、省エネ機能とかが新しい家に比べて劣るものでも、あるいは新築時当初の便利・快適機能が発揮できなくても、それは直ちに「寿命」とは考えない人が大部分だと思うのです。

「家の寿命」がある限り、お風呂やトイレといった生活に不可欠な水回りや、台所など火の回りも「リフォーム」として取り換えてしまえるし、手を変え品を変えて、ずっと住み続けることも可能なわけです。

すなわち、家の寿命とは何かというと、家を支えている各種の構造部材の強度が、新築時に近い状態で維持されているかどうかが、その本質になるわけです。

ありていに言えば、家が傾いたりしていない、倒壊のおそれがないこと。これが家本体の寿命が保たれている状態であり、それを前提として、リフォームや耐震補強などが可能になるわけです。

このような観点に基づいて言えば、家、とりわけ一般的な木造住宅の本質的な寿命を縮めてしまう要因は、大きく二つあります。そのうち、わかりやすいほうが「シロアリによる食害」です。

シロアリが家の土台となる構造部材を食べて、その強度を弱くしてしまえば、程度が酷ければもう「住めない」、つまり寿命になってしまいます。こちらの方が被害が劇的で家の寿命にとって深刻な問題ではありますが、一般的な「寿命」を論じる「切り口」にするには、発生機構と防御システムが複雑過ぎるので、ここでは触れないでおきます。

シロアリによる被害のほか、もう一つ、、家の寿命を縮めてしまう「比較的単純でよくある要因」が、構造部材の水濡れです。

雨漏りや結露などによって濡れたまま、乾燥しない状態が続くと、木材であれば、濡れた部分から腐ってしまい、本来の強度が出せなくなります。これが「あまりにもよくある」ために、日本の木造住宅の寿命は30年程度、などと言われるわけです。

この雨漏りの問題は、平成11年(1999年)の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」制定後も、主要なトラブルの原因であり続け、とりわけ昨今の「シンプルモダン」のデザインでは、雨漏りにはなおさら注意をしなければならないと言われています(詳しくはこちらの外部記事を参照ください)。

ですので、例えば保証が切れる築10年、その段階から家の寿命を保っておきたいと思った場合に、何を手を打っておけば良いかというと……ちょうど、我が家は、昨年春に外壁塗装が必要と言われる築10年のタイミングを迎えましたので、実際に色々と具体的に調べ、考え、何人かの「中の人」を捕まえて本音を聴きました。そこでよくわかったのですが……(あくまでも「素人に過ぎない私」の理解ですが)

そうなると、築10年とか経って家の寿命を保とうと外壁塗装をしようとすれば、建坪が30坪くらいだと、80万から120万とかかかるらしいですけど、みすぼらしくなった外壁(窒業系サイディングボード)全体をきれいに塗り直したところで、それは「大金をかけたのだから…」という安心感だけで、費用対効果的な観点からは、実際の家の寿命にはそれほど大きく寄与しないという理解になるのです。

もう少し言えば、そんな外壁塗装の費用対効果を、もう少し合理的に向上させようと、ボードとボードの合わせ目のシーリングだけをやり直すとしても、合わせ目からの雨の侵入が著しく直接内部の透湿防水シートに水が流れるとか、その合わせ目のシーリングの位置で防水シートが切れているとか、そういう状況でもなければ、実際の家の寿命を保全する効果は乏しく、やはり確率論的な改善効果に過ぎないとか。

しかし、バルコニーだけは、早いめに手を打って塗装(トップコート)をやり直しておかないと、塗装の保護がなくなり露出したFRP層など防水層まで劣化して、構造部材が濡れるリスクが高まると共に、防水層のやり替えを要するために、高額の費用を発生させるおそれがある、とのことでした。

バルコニーのトップコート塗り直しだけなら、外壁塗装の費用の1割程度の費用で済むようです。

……つまり、全体が「万遍なく仕事をされている」という状態(この場合、外壁塗塗装)よりも、特に弱いバルコニー部分に絞って対策を講じた方が、寿命という問題に対する費用対効果としては有効であるといえます。

そこで、私は、築10年超えの我が家の寿命を維持するための投資として、実際にバルコニーだけ、手を入れることにしたのですが……で、床面のトップコートも、確かに劣化が始まっていたのですが、今回、我が家の寿命に影響する最も重要なリスクは、実は、その床面でもなかったのです。

写真で見てみましょう。我が家のバルコニー。薪ストーブの煙突があるから、実際のものだとわかっていただけますでしょうか?(笑)でも、ここでは、この床面の塗装が弱いところから剥げてきていてFRP樹脂が少し見えているので、全体の塗り直しを計画したわけですが…

プロに言わせると、バルコニーで構造部材が濡れるというリスクから考えると「まずい」のは、床面よりも、この手すりに設けられた「飾り窓」だと。どうしてかというと……

この飾り窓は、飾りの造作なので、耐久性も乏しく、このように「割れ目」が生じていたのですが、外壁のサイディングボードの合わせ目などとは異なり、ここから侵入してくる雨水について、本体構造上は、なんの対処もされていないというのです。そのまま、壁内の構造部材を濡らしていってしまうのです。

この割れ目に根本的に対処する(そもそも割れ目ができない構造に改める、あるいは割れ目から雨水が侵入しても構造部材が濡れないように防水シートなどで対処しておく)のは、非常にコストがかかることですが、警戒管理を前提にすれば、コーキングだけで低コスト対処できる。

つまり、築10年を超える我が家の寿命を、これからも維持していくために、今何が必要かを具体的に考えてみた場合、大丈夫だろうという順に、次のような要素が挙げられたというわけです。

  1. 外壁サイディングは、建売で価格と納期をぶっ叩かれたことによる「やっつけ工事」にありがちで、固定も甘く浮いていたりするが、幸運にも雨水が壁内に積極的に浸入しそうな部位もなく、サイディング本体材質としての長期耐久性は、この素材が登場してから40年程度しかないため不明だが、雨漏りしない程度(美観を除く)には相当長期に確保できそう。
  2. 外壁の内側、構造部材の外部に張られた透湿防水シートも素材そのものとしての耐久性には優れていて、50年程度は充分持つし、日光や水がシートに直接当たらない程度に維持されていれば、あとは施工ミス(破れや貼り損じなど)があった場合に、その場所が外壁からの水の侵入部と合致してしまう問題だけを考えれば良いが、これは確率論的で、今は調べようもない。
  3. バルコニーは防水層の素材を保護するための塗装が劣化しており、放置すると防水層の素材そのものが劣化して防水機能が発揮できなくなるので、塗装全体を今やり直すのが合理的。同時に雨水が飾り窓から構造部材の壁内に侵入可能になっていると考えられ、雨漏りのリスクがある。

ちなみに、屋根については、以前に雨漏りを起こした部分もあるのですが、今回は特に問題が見つかりませんでした。

このように、家の寿命を例にしてみるとわかるのですが、換えが効かないために本質的に寿命を決める重要な骨格部分にしても、その劣化は、全体として穏やかに進むのではなく、「ちょっとした綻び」から急激に進むことが予測されるのです。

したがって「全体の寿命を伸ばそう」と、いくらお金をかけて広い部分を全体的にケアしてみたところで寿命は延びず、見落としがちな「細部の思わぬところ」を重点的にケアできないことには、実際の意味はないのです。

寿命を決めてしまう「細部の思わぬところ」に配慮するための方法

このように、全体の材質として長寿命なものを選び、基本的にはそれが劣化しないように設計しても、「細部の思わぬところ」があれば、そこから劣化が進んで寿命を決めてしまう中で、じゃあ、実際に寿命を延ばすにはどうすればいいでしょうか?

「そんなリスク(将来の「綻び」)につながるデザインや、機能を最初から避ける」ということは有効ですし、設計そのもののコンセプトを、極力シンプルなものにすることも悪くないのですが、それでは「つまらない」あるいは「できることが限られる」という場合もあります。

そこで、将来の「綻び」が出るかもしれないデザインや機能を盛り込んでいく場合に、実際には綻びが出ないようにするための有効な方法は、実際には次の2つしかありません。

家を例にしますと、そのような長寿命を売りにしているハウスメーカーにゼロ・コーポレーションという会社があります。この会社の特徴は、家の寿命を延ばすには、住民からわからない隠れ雨漏りも含めて「雨漏りゼロ」を実現させなくてはならない、ということを掲げて、実際の施工を年間数百棟程度、手掛けているところにあります。

いわゆる「ローコストメーカー」の一つなのですが、「新築後2、3年目の雨漏りの問合せが増加中!」などという2015年のプレスリリースが存在する中で、直近の10年間に引き渡した3368軒で雨漏りが3軒という実績を掲げています。それを達成するためにやっているのが次の2つのことです。

およそ何かを組織的に製造している会社で大きく発展しているところや、あるいは弊社の本業のように組織的な保証を要する試験を実施しているようなところでは、必ずというほど具体的な細かいやり方を定めた「作業標準」や「品質の検証手順」を持って関係者で共有しているので、このゼロ・コーポレーションの取組も「当然」と言えば「当然」なのですが――

品質の大切な要素である「寿命」を確保するには「細部への配慮と検証」、まさにディテールなんですが、このディテールが現場で実際に徹底されることこそが重要だと、改めてご理解頂けますでしょうか。

さて、ここでようやく薪ストーブの寿命に話を戻します。薪ストーブの寿命を決定付ける煙突の設置施工ですが、このような視点から、実態を見てみるとどうでしょうか?

「中の人」として、色々見聞きした限りですが……実態は「ひどいもの」です。煙突は付いた、とりあえず燃えた(この「燃える」ですら、クリアーしているのか怪しい事例も少なくない)、としても、「細部の思わぬところ」から、将来の「綻び」が出ないかどうか、というと……そんなの、いつ出てもおかしくない、みたいな。

どうしてそのようなことになるかというと、薪ストーブの設置施工というものが、新築ではなく既設住宅に取り付けていくケースが圧倒的に多く、1軒、1軒で事情が異なることもあり、「作業標準」を整備するよりも「頭の中の知見」に頼るのが一般的ということと、職人的な個人事業としてやられている業態が大部分で組織化されていないことが、背景として挙げられます。

要するに「組織的に」品質を担保し、検証する手順を持つ必要性がないのです。自分でやって、自分でチェックするだけですから。寿命どころか「現在」のチェックは「火入れテスト」により可能ですが、その「燃える」すらまともにできていなくても、職人らしい強気で言い逃れすることが可能というのが実態です。

実際、当地方でも最大手、老舗として知られる某薪ストーブショップの仕事が一番ひどいとか、聞いたりします。そういう「裏話」を話す人ですが、本物志向の人ということで私も付き合っているので、あながちウソでもないのでしょう。

大手として多くの案件を抱え、組織化されている手順を持っているように思われる薪ストーブショップほど、実は、昨今の薪ストーブブームの上に胡坐をかいて普段の仕事をしているという実態も、もしかしたら、あるのかもしれません。

そんな「現在」の「燃えるかどうか」すら、おぼつかない設置施工が決して珍しくない中で、長い時間が過ぎた将来起こり得る問題、すなわち「寿命」にまで配慮した設置施工、「細部の思わぬところ」まで配慮が行き届いた設置施工を可能にするのはどうすれば良いかと言うと……

長期使用に関するテストが現実的にできない以上、また組織化のための作業標準が共有できる形で存在しない以上、豊富な経験に基づく知見(つまりディテール)を頭の中に持ち、それを現場で実行しようとする良心と能力を持つ「人」に、煙突の設置施工をやってもらうしかないと思うのです。

これは、本当に難しいことで、「とりあえず今燃えるように煙突をつける」くらいなら、私にだってたぶんやれます。でも、昨今の高性能住宅で、住宅そのものの機能を極力損なうことなく(これも寿命と同じく、細部の、わずかな「綻び」から、全体の性能が損なわれるという特徴があります)、煙突を、燃焼性能が出て、掃除がしやすく、万一煙突火災が起こっても安全であるように取り付けるのは、正直、至難の技だと私は感じています。

結局は、まだまだ「人」なのです。薪ストーブの、とりわけ設置施工の世界は。良くも悪くも。

私たちの薪ストーブ設置販売事業は、したがって、そういう「人」をパートナーにすることを成立要件にしています。さらにその「人」による設計と施工について、私が、半分素人の目線を活かしながら、考えに考え尽して、検証するというのが、品質保証の手順です。

以上、安心して長く使える薪ストーブのためには、設置施工を「誰に」依頼するかが、最も重要な問題になるということを、長々と論じてきました。これは、私たちモキ製作所に限らず、どんなメーカーの本体でも本質的に「同じ」です。むしろ「そこ」を第一にしながら、薪ストーブ導入を考えることが、長い目で見れば最も正しいと言うことができるでしょう。

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