株式会社愛研 環境保全事業
モキ製作所の薪ストーブ 普及販売】

モキ製作所薪ストーブ生活イメージ

住宅の断熱性能は時代によってどう変わってきたか?〜これからの薪ストーブに求められる出力〜

【現実の諸問題】〜その4〜

今どき家を買うような人なら関心を持つ住宅の断熱性能、その変遷

薪ストーブを入れようなんて思う人は、もしこれから家を建てたり買ったりしようとするなら、必ず自ら情報を取りに行くような人だと思います。そして住宅の断熱性能や省エネの問題を意識し、一番有利な選択をされると思うのですが……

この断熱性能の問題は、時代による変化があまりに激しくて、特にこの10年ほどで「常識」や「相場」は大きく変わりましたから、一般には、感覚を掴むのはなかなか難しいと思うのです。

そこで、この記事では、住宅の断熱性能の時代による変遷をまとめながら、時代ごとの「常識」や「相場」について考え、そこで今の時代に求められる薪ストーブの性能について考えてみたいと思うのです。

これ、住宅の断熱性能の時代による変遷を知るには、すでに建てられた家にお住まいの方にとっても、今後のためを含めて、ご自身の家がいつ建てられたから、どの断熱性能レベルに相当するか?などを推定したりするうえで、実はかなり役に立つと思うのですよ。この記事は本事業Webサイトでは最も労力をかけて情報を整理したものですので、ぜひお役立て下さい(笑)

まず、「断熱等級」って言葉、それが具体的にどういうものに基づいているか、ご存知ですか?

ご存知の方も多いかもしれませんが、改めておさらいしますと、この「断熱等級」とは、平成11年に公布され成12年に施行されたた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(いわゆる「品確法」)に基づいて、平成13年に告示された「評価方法基準」(平成13年国土交通省告示第1347号)によって定義される、住宅の性能を規定する「断熱等性能等級」のことです。

この「断熱等性能等級」という言葉も、平成27年以前は「省エネルギー対策等級」という名称であり、実は「断熱等級」というのは俗語で、ネットで検索しても正式にはヒットしません。でもネットではこっちの方が一般的なようですし、私などもこれはちゃんとした言葉だと思って馴染んでいますので、ここではそのまま使います(笑)

ここで、まず品確法が公布された平成11年という、断熱性能の歴史で、とても重要な動きがあった年代が登場するのですが、断熱性能の歴史そのものは、もっとそれ以前にさかのぼります。

昭和54年に公布された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」、(ただし「合理化等」の「等」が名称に付加されたのは平成25年改正による)通称「省エネ法」と呼ばれるこの法律こそが、世の中の住宅の断熱性能を決める「おおもと」となってきました。

およそ世の中の法律というのは、時代の影響をおそらく最も色濃く受けるものだと思うのですが、特にエネルギーを扱う法律なんて、時代の要請によって生まれ、その後も情勢の変化によって大きく変化をしていく、つまり常に改正されていく運命にあるわけです。

エネルギーの問題を巡る「時代の要請」って、なんでしょう?わかりますか?

そう、地球温暖化問題への対応――省エネ法はこれによって、大きく改正されていきました。そして「断熱等級」も、省エネ法の改正とリンクして、どんどん高性能なものに強化されていったというのが基本的に正しい認識です。

しかし、法律の条文に「断熱等級」が書いてあるわけではありません。こういう具体的に数値が入るような基準は、法律が公布されて、それから半年とか、1年とか、2年とか経ってから、施行されるされる時に、例えば「国土交通省告示」として数値が具体的に示されます。

「断熱等級」に相当する基準は、昭和55年に「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」として示され、平成18年に「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」と改称された、通称「省エネ基準」という法律文書によって示されてきました。

時代の要請を背景とする省エネ法改正に伴う、この省エネ基準の改正こそが、時代ごとの住宅の断熱性能を決めてきたわけです。

それでは、時代ごとの「省エネ基準」の変遷を。省エネ法改正との兼ね合いと、省エネ法が改正された「時代」を思い出してみて下さい。

省エネ法 省エネ基準 通称 品確法相当
昭和54年公布 昭和55年告示 「昭和55年基準」「旧省エネ基準」 断熱等級2
平成5年改正 平成4年告示 「平成4年基準」「新省エネ基準」 断熱等級3
平成9年改正 平成11年告示 「平成11年基準」「次世代省エネ基準」 断熱等級4

実は、この平成11年に示された「断熱等級4」「次世代省エネルギー基準」によって、躯体断熱性能が大幅に強化され、高気密化、計画換気など、今ふうの住宅の基本仕様がほとんど完成し、世の中に示されたわけです。

「次世代省エネルギー基準」移行の改正は、個々の住宅の断熱性能(省エネルギー性能)を一層強化するものというよりも、住宅分野の省エネルギーの普及や定着を主眼に、例えば届出措置の義務付けの対象となる建物規模の範囲を拡げるような改正が基本となりました。

省エネ法 告示 通称 ねらい
平成18年改正 平成18年告示 (なし) 大規模住宅規制対象
平成20年改正 平成21年告示 トップランナー基準 中規模住宅規制対象
建売住宅5年後達成要求

平成21年の「トップランナー基準」は、これまでの省エネ基準とは位置付け、つまり法律文書としての名前も異なり、「特定住宅に必要とされる性能の向上に関する住宅事業建築主の判断の基準」というもので、平成26年度以降の建売住宅に一定割合の適合を求めたものです。

基準としての内容は、断熱性能を強化したというわけではなく、住宅の空調・冷暖房、換気、照明、給湯、家電調理、さらには太陽光発電といった設備によるエネルギー消費とエネルギー創出を合計した「一次エネルギー消費量」の考え方を初めて導入し、これを住宅金融支援機構のフラット35S(20年金利引下げタイプ)の融資要件として設定し、優遇金利やその優遇金利を受ける期間が長くなったりするなどの措置で普及が図られました。

つまり「次世代省エネ基準」のあとは、住宅の躯体の断熱性能の向上ではなく、住宅に備え付けられるエアコンや給湯器をはじめとする設備の性能を向上させることによって、トータルとしての「一次エネルギー消費量」を削減しようとする施策がとられてきたわけです。

こういった省エネ住宅の普及面について言えば、同じ時期、平成20年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が交付され、平成21年には税制や融資面で有利になる基準として「断熱等級4」への適合が求められることになりました。

ここで少し法律から脱線して、世の中の「常識」や「相場」について見てみると、新築住宅全体での「断熱等級4」の適合率がまだ2割に満たずに伸び悩んでいた平成20年から、このような施策が相次いで打ち出されたことによって、少なくとも自ら情報を集めようとする人の間では、「高気密高断熱」として「断熱等級4」が必要ということが概ね「常識」となり、平成23年度には、日本の新築住宅全体の半分程度で「断熱等級4」が建築されることになったとのことです。

ちなみに『「いい家」が欲しい』という外断熱工法の有利さ・合理性を訴えて、かつて非常に話題になった本があったのをご存知でしょうか。その初版が平成11年、改訂版が平成16年で、ちょうどこの「高気密高断熱」が、一部の限られた人の間で普及していっていた時期と重なります。このころ激しく争われた「外断熱なのか?内断熱なのか?」という議論も、これから紹介する「とんでもないQ値への要求」を前に、だいたい、決着してしまったようですが……

脱線ついでに、私自身のことを言いますと、私は、この断熱性能のことが、自ら情報を集めようとする人の間では「常識」となる直前くらいの平成17年に、断熱性能のことを何も知らずに当時、建売としては「まあ普通の」(薪ストーブ事業のパートナーであるM社長談)「断熱等級3」にも満たない性能の建売住宅を安易に買ってしまったので「あと、もう少し、家を買うのが遅ければ……」と、なかなか忸怩たる思いがあるのですが、暮らし始めて、あまりの夏の暑さに耐えかねた結果……

家の南側を落葉樹で埋め尽くした(森林内が涼しい蒸散効果を再現)

枝葉が茂るので剪定しなきゃ……でも、ただゴミにして燃やすのイヤだ

この剪定枝を無駄にすることなく、暖房燃料に利用できないか??

「何でも燃やせる」ということで、モキ製作所の薪ストーブ導入

暖かさの心地よさ、料理の素晴らしさ、安い暖房代に感動

こんな素晴らしいものはないから、世の中に普及させようと事業化

……ということになったので、「人生何が良かったのか」は、なかなかわからないかな、などと思ったりもします(笑)

話を再び法律の話、「省エネ基準」の変遷に戻します。その後、平成23年に、省エネ法では「最後」となった重要な改正が行われました。これに基づいていわゆる「平成25年基準」「改正省エネ基準(新基準)」が示されたのです。ちなみに法律文書の名前は「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」ということで、冒頭の「住宅に係る」の語句が外されました。

「改正省エネ基準」では、断熱性能自体は、これまでの「次世代省エネ基準」と同等ですが、床面積を基準にして算出するこれまでのQ値に代わり、建物の外皮表面積を基準として算出する「より難解な世界」になりました。なお、平成27年4月1日をもって「次世代省エネ基準」は廃止となっております。

ちなみに、ますます重要性を増す建築物のエネルギー消費量増加問題に対応するために、この記事を書いている平成28年頃の最新の動きとしては、

……というような流れによって、「住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業」などが花盛り、という「今後への流れ」につながっています。

……もう疲れましたよね(笑)

この記事は、何日もかけて情報を調べあげて、正確性には万全を期してはきましたが、興味のある方は、やはり専門家のサイトをご確認ください(笑)「これから」を含めた流れはJFEロックファイバーさんによるこちらのサイトが一番わかりやすいと思いますし、「これまで」までの話は住宅サポート建築研究所さんによるこちらのサイトが一番わかりやすく詳細にまとめてあると思いますので、参考にさせていただいたことを感謝するとともに、お勧めいたします。

以上、散々述べてきましたが、結局のところ、一番新しい「改正省エネ基準(新基準)」というのは、平成11年の「次世代省エネ基準」が床面積基準の「熱損失係数(Q値)」であったのに対し、外皮表面積基準の「外皮平均熱貫流率(Ua値)」に代わり、同じくかつての「夏期日射取得係数(μ値)」が「冷房期の平均日射取得率(ηa値)」に変わるなどしていますが、家の躯体の断熱性能だけで言いますと、ざっくり

「次世代省エネ基準(平成11年基準)」≒「改正省エネ基準(平成25年基準)」

であると、ようやく確信を得ることができた、というのが、非常に長い長い検証を行ってきた結論です(笑)

断熱等級3と4の違い、さらに感性豊かな人の意識

さて、薪ストーブをこれから導入しようとするユーザーが求める出力を考える上では、「一次エネルギー消費量」などは関係なく、建物躯体の断熱性能だけを考えればだいたいコトが足りるので、基本的に平成11年に示された「次世代省エネルギー基準」で考えることができ、そのQ値による考え方は簡単で理解しやすいので、それを基準にして議論を続けます。

それでは新基準でいう5地域や6地域(次世代省エネ基準でいうW地域)を念頭に、Q値「4.2」などの「断熱等級3」から、Q値「2.7」とかそれより小さい「断熱等級4」になると、断熱性能はどのくらい向上したのでしょうか?――具体的にどのくらい違うのかと言いますと、例えばわかりやすいのは、このあたりの資料かと思います。

あと、普通の人にとって、感覚としてわかりやすいのは、暖房をつけて室温が例えば20℃に暖まった状態から、暖房をオフにしたときに、どのくらいの時間で、どのくらい室温が低下していくか?という話です。

…というようなことで、ここまで示した資料をご覧になれば、これから家を持つのであれば、次世代省エネ基準の「T地域」の「等級4」に相当するQ値「1.6」ぐらいが「いいなあ」と思われたのではないでしょうか。

私は、薪ストーブなんて、本当に「感性のもの」だと思っていますし、感性の豊かな人は「自ら積極的に情報を取りに行く少数の人」だとも思っています(そのあたりの話はこちらに書きました)。つまり、これから薪ストーブを入れようとされるような人ならば、手に入れる家のQ値は、せめて「2.7」、できれば「1.6」くらいの断熱性能が欲しいと考えることが、多くなってくるのではないかと思われるのです。

そんな意識に関して、薪ストーブの話は出て来ませんが、住宅のQ値について、巷での相談へのアドバイスは、こんな感じになっていまして、新基準でいう5地域や6地域(次世代省エネ基準でいうW地域)であっても、Q値は「1.6」程度が、断熱性能に関心のある人の間では「常識的に」に意識される時代のようです。

ところが、このあたりの「Q値にどこまでこだわるか?」ということは、実際問題としては、やはり、予算との兼ね合いが非常に大きいようです。

私も全然詳しくないのですが、どうも色々なWebサイトを見ていると、Q値「1.6」や「1.3」を達成するには、いわゆる坪単価でメーカーによっては80万円以上、最低でも50万円くらいはみないといけないとか??……具体的な金額はともかく、断熱性能は、家の本体価格にモロに効いてくる重要な要素であることは間違いありません。

そして、コストの問題だけではなく、依頼する工務店やハウスメーカーとの「出会い」や「ご縁」を重視されて、数値化された「断熱性能」に、そこまで「あえて」こだわらないという方も、感性豊かな方には逆に多いような気がします(自慢ではありませんが、私自身も、そのタイプです(笑))。

現実問題、「ない袖」であれば、振れないわけですから、住宅本体にはあまりお金をかけられないけど、そのぶん、様々なこだわりを大切にしながら、家族と幸せに暮らしたい……と真剣に願う、そのような方にこそ、私は、モキ製作所の薪ストーブを、快適で楽しく心休まる冬の暮らしを両立する「もう一つの選択肢」として、お勧めしたいのです。そのあたりの私の結論はこちらの「まとめ」に述べてあります。

ただ、世の中の流れとしては、これからの時代は、感性豊かな人から順に、断熱性能にこだわって家を建てられたり、買われたりという方がもっと増えていく、そういうニーズの高まりがどんどん表に出てくる中で、世の中全体の家作りも進化していく、という「読み」に基づいて、これから時代にふさわしい薪ストーブの出力を考えてみたいと思うのです。

これからの時代にふさわしい薪ストーブの出力

これからの時代、断熱性能の高い家へのニーズが高まっていくとして、その断熱性能で最も進んでいるのが北海道。北海道の家を考えれば「これからの時代」が見えると思うのです。

そこで、先日、とても貴重なご縁で北海道の方に弊社のお客様になっていただくことができました。お買い求めいただいたのが、モキ製作所の家庭用薪ストーブの「主力」、MD80U。

このMD80Uの出力、1時間あたりの熱量は、19,430kcal。これを22万5千円という価格で提供できることは、モキ製作所の薪ストーブの圧倒的な強みなのですが……(バーモントキャスティングスとの比較をまとめた記事はこちら)

北海道で薪ストーブを導入しようとされるような方が選択される、高気密高断熱の住宅では、この19,430kcalという出力がむしろ「障害」となることを、北海道を実際に訪ねてみて、つくづく実感しました。

具体的には、北海道の薪ストーブショップのパイオニアともいえるパイスショップたかの、高野社長に直接お会いしました。お会いしたら「あ、この人は、本物だ」とわかる人なのですが(私も営業、人に対応するプロですので「人を見る目」だけは一定以上だと自負をしております)、このお客を選ぶことができるほど、こだわりのある商売をされ、かつ支持されている方が、MD80Uについて、ばっさり一言。

「北海道の家ではこれはダメ、出力が高すぎる。」

モキ製作所の方に言いたいのですが、これが「現実」です。もう時代が、変わっているのです。

私自身、この北海道のお客様にご縁を頂くまで、モキ製作所の「高出力という利点」は、北海道のような土地でこそ発揮される、と思っていたのですが、本当のところは全く逆だったわけです。でも、高野社長にお会いした時点では、私は、この言葉を、実に素直に受け止めることができました。

実は、高野社長にお会いするまでに、北海道のお客様から、私は高気密高断熱住宅の「実力」を、様々なデータの検証によって教えて頂いておりました。C値「0.7」、Q値「1.2」の性能を誇るおうちのデータです。以下に、少し数字を示します。

厳冬期1ヶ月間での実測の暖房のための電力消費量が2,165kWhとのことで、1日あたりは72kWh。日中は暖房を切るためその時間を平均4時間とすれば暖房器具を稼働させているのは16時間となり、電力消費量が全量熱エネルギーとして家屋内に放出されている、すなわち出力であるとすると、単純計算で必要な暖房出力としては3.6kW。

3.6kWの「キロワット」というのは、電気器具の「消費電力」などの大きさを示すのに使われているのに接することも多いかと思います。電気器具を「つけっぱなし」にするほど「たくさんのエネルギー」が消費されます。ですのでW(ワット)は「時間あたり」の単位なのです。「速さ」のような概念と言えばイメージ頂けますでしょうか。1秒間あたりに消費(出力)されるエネルギーとして定義されています。

「消費(出力)されたエネルギーの大きさ」は、J(ジュール)という単位で示されます。「速さ」に対しては、「距離」にあたる概念になります。1秒間あたり1Jのエネルギーが消費(出力)される状態を「1W」として表現します。よって、ワット数に時間数をかければ、実際に消費(出力)されたエネルギーの大きさ(ジュール)になります。

そういうことで、話を戻しますと、3.6kWのヒーターを1時間使用すると、1時間は3,600秒ですので、出力されるエネルギーは12,960kJということになります。ここで、1kcalは4.186kJですので、1時間あたりに電力として実際に消費された熱量は3,096kcal……それに比べると19,430kcalというMD80Uの出力熱量は「明らかに過剰」となるわけです。

私も、この計算結果を伺った時、耳を疑って、換気回数や外気温度との差からの必要エネルギーの理論検証などもお願いしましたが、必要出力はだいたいこのような数字、つまり1時間あたり3,000kcalでいける、という結果になりました。現状は、やはり電気代は高いですので、暖房温度を「我慢」しているとのことで、それを「贅沢」にしても1時間あたり5,000kcalもあれば充分コト足りる。

これではMD80Uは「暑すぎて」導入できないのでは?、ということになって、さらに色々検証したところ、実際には、我が家のMD80Uの「巡航運転」は、実際のところ表面温度500℃ではなく、料理に活用している状態でも300℃程度で運用されていることがわかりまして、その場合の理論的な出力は1時間あたり3,200kcalであろう、という計算結果になり、お買い求め頂けることになったのですが……

よく考えれば、我が家も、断熱仕様に加えて施工仕様も「Q値なにそれ美味しいの?」みたいなスッカスカな住宅である代わりに、暖房範囲は絞って、全館暖房などではなく、締め切られた大きなLDK一間に限っているわけです(「限っている」と言っても、一般に薪ストーブの機種選定で出力を判断する場合に最大出力機種が要求される「20畳」を越える、「21畳」ありますが)。エアコン1台ないし石油ストーブ1台でカバーしていた範囲だけを、MD80Uで暖めています。一度、「最大出力運転」をやってみましたが、そのLDK一間だけ締めきった状態では、暑くて暑くてとても居られませんでした。

つまり、運用の実態としては、相当出力を絞ったような「表面温度300℃」を、普段の「最大」として、しかもそれは、料理でガンガン使いたい、家族全員が居間に揃っているような時だけですから、平均すると「もっと低い出力領域」で使っていることになるのです。その結果、次のようなことが起こる。

ですので、「その気になれば」非常に高出力運転ができるのは、さまざまなシチュエーションに対応する上では、とても心強いことではありますが、「普段、一番よく使う出力範囲」(つまり常用範囲)で、特に「初心者でも簡単に使える」とは言い難い状況にあるわけです。現状のモキ製作所の家庭用ラインナップでは。このMD80Uが「一番出力の低い」機種ですから。

以上のことから、「これからの時代にふさわしい薪ストーブ」をモキ製作所に望むとすれば、ぜひ、現在「ミニストーブ」と言われている、作業小屋向けの、このMD30のような性能(出力として、1時間あたり熱量7,200kcal程度)の「ちょうど良い薪ストーブ」を……

……そういう薪ストーブを、かつての「MD80」のような、コストパフォーマンスが極めて高いものとして、市場に出して頂きたいのです。

しかし、この部分で私は、メーカーに要求だけして、手をこまねいているわけではありません。MD80Uは、その気になれば高出力運転ができる「性能の余裕幅の大きなストーブ」として、なおかつ、料理に便利な広大な天板や、44cmまでの長さの薪が入るハンドリングなど、捨てがたいメリットがありますので……

弊社としましては、MD80Uのこのようなメリットを生かしたまま、低出力時の燃焼性など、根本的な性能を向上させることができれば……ということで、それを具体的に実現する、すなわち

……そういうMD80Uユーザーにとっては「夢のような」パーツを、弊社で本体をお買い求め頂いたお客様に限り、「愛研オリジナル」のオプション製品として提供いたします。平成28年秋〜平成29年春シーズンのリリース予定です。詳しい仕様は改めて公開しますが、この「iGブースター」を装着した燃焼試験の動画は先行公開を開始しました。

その基本的な原理は、炉内への空気供給を「予備加熱された空気として、まんべんなく回してやる」ことにより、空気供給量を絞った「穏やかに燃やしている」状態でも、炉内の空間の随所で二次燃焼をうまく発生させる、というものです。

開発者による本製品の開発の様子はこちらこちらにありますので、ぜひご覧ください。

以上、世の中の流れをまとめた上で、モキ製作所の薪ストーブだけを専門に取り扱う代理店である弊社としての、「時代への対応」をまとめました。薪ストーブについて興味のある方も、興味のない方にも、この記事がご参考になれば幸いです。

なお、ここで述べました「愛研オリジナル」のオプション製品については、ブログにてこちらの『モキ製作所の薪ストーブMD80Uで不幸に陥っていた人を救った「iGブースター」、その開発者に限りない敬意を』という記事にて、関連記事や販売方針を含めてまとめてありますので、興味を持っていただきましたら、ぜひご覧ください。

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