株式会社愛研 環境保全事業
モキ製作所の薪ストーブ 普及販売】

モキ製作所薪ストーブ生活イメージ

意外と高い安全性

【嬉しいこと楽しいこと】〜その5〜

「そこにわかりやすい危険がある」ということ

モキ製作所の薪ストーブは、ストーブ本体の表面温度が500℃にも及ぶ高温ということで「そんな恐ろしいものが居室にある」と思われる方もいらっしゃると思います。そこで、人が火傷をするとか、そういう危険について考えてみます。

【追記】小さいお子さんや、ペットを飼っていらっしゃる方が、この疑問を持たれるのは当然のことですので、別途ブログにて、「ペットや小さい子どもって、あぶなくないのかな?」という記事を書きまして、写真や引用を交えながら解説しておりますので、そちらもご覧ください。

一つ重要なことは、そこに明らかな危険があると認識できる場合は、人はそれで怪我をすることは、かえってないということです。それは「駅のホームから線路に転落する事故を防ぐために、柵を設けるべきかどうか?」という問題と、本質的には全く同じことです。

逆に言えば「怪我をしやすい」というのは、どんな場合かというと、そこに危険があるとは最初から思っていなかった、あるいは、うっかりしていた・忘れていたというケースが大部分ではないでしょうか。例えば同じような高温の危険にはホットプレートや、ハンダごてがありますが、実際に怪我をするのは、圧倒的に「小さなハンダごて」の方が多いはずです。

燃焼している状態の、特にモキ製作所の薪ストーブのような高温燃焼タイプのストーブ本体は、近寄れば近寄るほど、明確に熱を感じるので、ふつう、誤って触れてしまうようなことはないと言えるのではないでしょうか。

実際問題、薪ストーブの脇にいる猫などの行動を観察していると、何も言わなくても、温度に応じた距離をちゃんと保っています。幼い子供でも同じようです。本当に怖い危険というのは、むしろ「ワナ」のように、近寄っても危険を感じさせないのに、実際に近寄ったらとんでもない危険が潜んでいるというタイプのものでないでしょうか。

よって、モキ製作所の薪ストーブの場合、警戒するべきは、むしろ火が消えてから冷め切る間までの時間ということになりますが、本体全体が同じような温度を持つため、面積が大きいことから低温でも温度を感じやすいことと、かつ早く冷めていくので、現実的な火傷事故の危険性は、かなり少ないというのが、実際に使ってみた限りの印象です。

安全性で本当に気をつけなければならないこと

いくら火傷事故としては発生しにくいと言っても、そこに高温の物体があるというのは、必ず特別に配慮しなければならないことがでてきます。まず、周囲にあるものが溶けたり傷んだりしてしまう危険性。焦げるとかでなくても、熱膨張して破裂してしまったりとか、周囲に無造作に置いてあるものが気が付いたら非常に加熱されて危険な状態になってしまうということは、特に高温となるモキ製作所のストーブでは常時、注意しなければならないことです。

もっと本質的に重視されなければならないのは、家の構造材や壁など薪ストーブの使用によって、定常的に輻射熱にさらされる部分の温度を、どのように安全な範囲に管理し続けるかということです。見た目で溶けたり変形したりせずあまり高温にもならない木材も、近々火にくべる薪として薪ストーブの周囲で不用意に乾かし続けていたら、ふと気が付いたら焦げて煙を出していたということがあるくらいなので、輻射熱の影響は相当大きく受けると考えるべきです。

中でも、最も注意するべき現象は、低温炭化と蓄熱による自然発火です。木材などの可燃物でも通常水分が含まれていますが、低温でも加熱し続けられると水分や親水成分が抜けきって炭になっていくとともに、材料中の空隙の割合が増えることから熱の伝えやすさが減り、熱が局所的に蓄積されていくことになり、ついには発火点を越えてしまうことがあります。特に壁のボードの内側にある木材に低温炭化と蓄熱が生じた場合、その変化が外から見えないので極めて危険な状態になります。

このような熱源に対する無警戒や無頓着は、現代的な生活に慣れてしまっていると意外とありふれたことであり、火傷事故のような危険よりも、もっと重要な問題として想定されなければならないことです。特に低温炭化は、長い時間をかけて生じてくる問題なので、導入時での想定と備えが第一になります。よって、薪ストーブ導入時には、低温炭化等の危険性について見識を有する人間の関与が欠かせないと言えます。

あと、想定しておくべき危険には、煙突火災や、さらに地震など自然災害の問題もあります。これは薪ストーブに限った問題ではありませんが、普段は全く問題ないけど、いざ生じた場合はどうするかという視点から考えておくことも重要です。具体的な危険としてどういうものが想定されるか、それに対して、あらかじめ、どこまで、どのように対処するかを準備しておくと、より安全と安心につながると言えます。

実際に安全で楽しく暮らすために

薪ストーブだけでなく、火器を使用する場合には、消防法や建築基準法などで、火器に近接する可燃物の温度の上限や、可燃物からの遠隔距離、遠隔距離を必要としない構造(耐火構造や仕上げ)が定められており、煙突の設置についても遠隔距離や設置構造が規定されています。

そういった規定の具体的な内容については、私たちのような「設置する側」が精通していなければならないことですので、ここでは書きませんが、実務上で一番重要な(実際にどう設置するかを最も制約する)平成21年2月27日国土交通省告示第225号の内容の一番わかりやすい例示解説(ただし側面図における背面遠隔は例示の「358」ではなく「368」の誤りではないかと思われる)を挙げておきます。

リンク先の図のピンク色の範囲に入る壁や天井は、コンクリートやレンガ、陶磁器質タイル、モルタル、しっくい、厚さが5ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板、鉄などの特定不燃材料(不燃材料であってもアルミとガラスはNG)で仕上げなければならず、特定不燃材料で「遮熱板」を儲ければ、その範囲を短縮でき、それ以外は難燃材料等で仕上げなさい、というものです。

設置に際しては、このような防火関連規定の内容そのものに加えて、それらがどういう安全上の知見に照らして定められているか、規定の意図をよく踏まえた上で、具体的にどのように設置していくか、きわめて慎重に判断していくべきでしょう。

さらに、この種の法令に加えて、業界団体やストーブメーカーが独自に指定している設置基準もあります。それらを完全に守って設置するのが望ましいとは言えるのでしょうが、実際は「あちらを立てれば、こちらが立たず」的な様々な問題(安全性と使い易さといった、トレードオフの関係にある問題)が生じるために、実際の場面では非常に頭を悩ませることとなります。

重要なのは、社会の様々な規則と同じで、規則を守ってさえいれば完全に安全ということでも決してないということです。現実のリスクをしっかり想定し、自ら管理していくんだという主体性と責任感を持って、自分なりに納得するまで考えて結論を出すことが、結果的には、最も良い結果につながると言えます。

幸い、薪ストーブそのもの、特にモキ製作所の薪ストーブは、火器として特段に危険性の高い道具ではないと考えられます。なぜなら、日常は、その近接面の温度に気を付けてさえいれば、自分自身で実際に安全かどうか確認することができますし、炎は密閉された頑丈な鋼鉄の本体の中にしか存在せず、正しく燃やせば煙突にススやタールも付きにくいものです。

万一、ストーブ本体が転倒したとしても、煙突が燃焼空気の流れ(ドラフト効果)の前提であるために、本体が煙突から外れることによって燃焼に必要な空気が得られなくなるために、扉が大きく開くなどしない限り、たちまち炎は収まり、くすぶるだけの状態となります。

事実、この地震国に多数設置されている薪ストーブが原因となった地震に伴う火災事例も聞かず、また、遠隔距離や遮熱も全く不十分な施工が現実に巷にあふれているにも関わらず、煙突掃除不足に起因する煙道火災以外の火災発生事例が、ほとんど何も出てきていないことを考えると、率直に言って、薪ストーブの実質的な安全性は、相当に高いものと思われます。実際、本体が重くて安定しているぶん、こと地震等の転倒リスクに関しては、よくある石油ストーブのような開放型暖房器具よりも薪ストーブの安全性はずっと高いと思われます。

安全対策は、もちろん大切です。万全を目指すに越したことはありません。ただ、どこまでやっても「絶対に大丈夫」ということがないことも事実であり、安全を万全にするほどコストがかかったり、使いにくくなることも容易に想像ができることと思います。どこまでやれば実際問題として大丈夫なのか、「絶対」なんて、実は誰にも言えないようなリスクを過剰に心配するよりも、地震が起こってもモノが倒れて来ないような安全で安定した場所に据え付けて、普段の生活の中で近接面の温度を実際にチェックし、煙突をちゃんと掃除する方がよほど重要です。

そういえば煙突掃除ですが、ディズニー映画の名作「メリーポピンズ」で歌われる「チムチムチェリー」ですが、あれは煙突掃除人の歌だそうですね。煙突掃除人に握手してもらうと幸運になるそうです。そのあたりがこちらのページに可愛らしくまとめられています。煙突掃除は、中世以来からの、とても重要な仕事ということなのですが、自分自身で簡単にやることができれば非常に安心なので、そのように設置時に知恵を絞ることが、より合理的だと言えます。

そのようにあくまでも楽しく過ごしながら、現実的なリスクをあらかじめ充分想定し、管理していく知恵と主体性こそが、特別に「薪ストーブだから」ということではなく、「暮らしのポイント」そのものであると言えるでしょう。

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